本質的にはジストニア(アテトーゼ)は動きの異常の病気である

 しかし、脳性麻痺の筋の動きの異常を分析する中で、痙性をもたらす硬い筋と,痙性の少ないやわらかい体を支える筋と,人の骨格筋は大きく二つに分けられている事を知り、痙縮の抑制手術が可能になりました。この瞬間、私達整形外科医はアテトーゼジストニアの動きをする筋も同様に分離してとらえる事が出来る事も知ったのです。痙縮を起こす筋もジストニアを起こす筋も、同じく荒々しく動き、体そのものを体の内側から引き倒す野性の筋である事を知ったのです。この野性の筋が荒々しく動き、痙縮やジストニアを作っていたのですね。これを緩めて荒々しい硬く不随意に動く野性の動きを止めれば痙性もジストニアも少なくなる事を知ったのです。

 一方で人の体の中には何千万年という長い年月をかけて人の体の形と動きを生み出してきたやわらかいふっくらとした短く太めの体を支える力強い筋が多く発達していたのですね。この本来の人の形と動きをもたらす人の特有の筋を完全に残し、この動きを活性化しますと、限りなく美しい人本来の動きと形が甦る事を知ったのです。そこでどんな頑固なアテトーゼでも、この整形外科選択的痙性コントロールで緩まり、代わりにやわらかく自分の思うように動かせる体が甦って来るのに気づいたのです。こうしてアテトーゼは、頭の先から手指の先まで、体幹から足にかけてすべての硬い筋を切り、荒々しい動きがとり去られ、正常の動きが甦ったのです。

 あの難しかったアテトーゼの揺れる頚、ねじり曲がった体幹、握りしめられた手指、下肢の変形はすべて整形外科選択的痙性コントロール手術で正常化の道を辿ったのです。

 脳性麻痺アテトーゼは脳神経外科でしか治らないと皆が考えいたのにこの考えは覆り、アテトーゼは脳神経外科だけではなく、整形外科の中で運動医学的な手技を用いて完璧に治るようになったのです。特にアテトーゼ頚の治療に至っては、痙性コントロール手術で頚の揺れを少なくした上で、同時に、脊髄を圧迫していた頚の骨を修復する骨性の前方除圧固定術と合わせ、死の病気と恐れられた麻痺性頚髄症を完璧に正常化するという画期的な役割をしてきたのです。もう現在では脳性麻痺の神経根症、脊髄症は怖い病気ではなくなっているのです。

 現在の時点で痙性コントロール手術で10年余り頚部前方除圧固定術で、更に20年余りアテトーゼ麻痺の方の寿命を伸ばす事を可能にしました。頚部選択的痙性コントロールの定着はアテトーゼ麻痺(ジストニア)を持った方々への大きな福音となっています。

 こうして二次性ジストニアは運動学的治療によって美しく完全に治せる時代になったのです。動画例5をご覧ください頸のねじれがきれいになくなっています。