脳性麻痺の二次障害:その2

その2:頚からの全身の痛みとしびれ

 

 脳性麻痺のもう一つの大きな痛み(2次障害)はアテトーゼ患者の頚の荒々しいねじれ、まげのばし回旋の動きのくり返しによって起こってくる頚椎症性神経根症の痛みと、さらにこれを放置しておいたため起こってくる頚の脊髄が圧迫されておこる頚椎症性脊髄症によってくる痛みとしびれがあります。アテトーゼ脳性麻痺の方々にとっては確実に死が近づくという身も心も凍り付くような恐怖の痛み、放っておくと決してよくなる事のない病気からの痛みであります。

 この絶望的な頚、肩、腕、手、全体の痛みとしびれは脳性麻痺の場合、くびのねじれの動きを自分でとめる事が出来ませんから絶対によくなる事はありません。少しずつ少しずつ強くなる痛みを我慢して生きていくしか方法はないのです。

 私もそのむかしテニスをやりすぎてこの痛みに苦しんだことがあります。頸椎という頚の骨の間の椎間板軟骨が横につぶれて飛び出し、神経を圧迫していたのですね。それは絶対的な痛みでした。マヒのない人の神経圧迫による痛みは頭をやわらかいコルセットで包み安静にしておくとなおるので救いがあります。私の場合、一年弱このコルセットで安静しておき治りましたが、ねじれの強い、かたい緊張の脳性麻痺の頚椎症は一生治らず悪くなり、脊髄まで圧迫され、恐怖の痛み、なおる事のない壮絶な苦しい痛みがつづく脊髄性の痛みに発展します。整形外科の手術も色々報告はありますが、かたい緊張をとりのぞく事が難しく、かえって頚がぐらぐらになって、症状が悪化する悲惨な結果に終わる事も現実の姿としておこってくるのです。

 治療法もなく、緊張止めの注射をして、その場しのぎの治療に頼らざるえない地獄の痛みのなかでのたうち回りながら一生を終わるというこわい痛み、しびれの病気ですね。

 骨の手術で正常の人と同じようになおそうとしますが、緊張が頚にあるものですから、なかなか手術後の安定を保つ事が出来ずうまくいきません。でも私達は痙性コントロール手術との組み合わせの中で整形外科の中で完璧な治療を完成しています。

 まず頚のまわりの緊張したねじれの筋を選択的痙性コントロール手術で切り離し、頚をまっすぐにふんわりと垂直に保てるようにするのです。軽い人で神経圧迫だけの痛みの人はこれだけですっきり治ってしまいます。驚くほどを効果的です。

 頚椎症性脊髄症の死ぬほどの痛みに対しては、選択的痙性コントロール手術でかたく緊張したねじれの筋を切り離し荒々しい動きをなくしたうえで、頚の前の方から脊髄への圧迫をのぞく前方椎体除圧固定術という手術を行います。これで頚からの痛みやしびれを完全にシャットアウトする事が出来るのです。すごい手術が完成しているのです。骨や軟骨が脊髄を圧迫している所を取り除いた上でぐらぐらしないように脊椎の骨をお互いにしっかり固定しているので、悪くなる事は決してありません。悪い動きも選択的痙性コントロール手術で完璧にゆるめていますので異常な動きが脊髄管の中に発生する事はありませんので死ぬまで安全なのです。

 頚の選択的痙性コントロール手術と前方除圧固定手術の組み合わせで、このこわい究極の痛みを整形外科で完璧になくす事が可能になっているのです。

 痛みという脳性麻痺の人を襲う二次障害は、薬や注射では本当の意味でなおりません。整形外科手術で痛みの本質をとり去る事が必要であり、可能になっているのです。