気鋭の整形外科の先生方へ

 50数年の脳性麻痺の整形外科治療の歴史の中で人が筋、関節、骨格の精緻な筋バランスの中で立ったり走ったり出来るのを知り、この精緻な筋バランスを正常化する運動医学、動き医学を専門医学整形外科を追求してきました。

 あらゆる脳性麻痺の異常な動きと緊張は一つひとつ丁寧にとりさり、正常の動きを生み出す医学が現実のものとなりつつあります。

 しかし、クロス、内ねじれ姿勢の矯正一つを見ても、具体的に一本一本の筋線維の異なった機能を把握し、これを正確に整形外科という手術療法で正しく正常の動きに近づけないといけません。

 大事な体を支える筋線維は一本といえども無造作に切り離す事のないような脳性麻痺の方々の機能に対して責任ある態度と手術手技が求められると思うのです。クロス治療ももう単なる内転筋の腱を切って喜んでいる時代ではないと思うのです。

 今私の所、小さい頃に内転筋を切った15才の少年が治療を求めてきました。すごい内旋変形をしています。これを治したいと思っても、何をしても絶対に治らないのです。駄目な事を分かった上でそのほかの内旋筋をゆるめました。しかし残念な事に内ねじれは治りませんでした。長内転筋はよく機能を考えると外旋筋なのですね。内旋にならないように外旋筋として働いているのですね。しかし私を含め、昔ながらの整形外科医は長内転筋は内旋筋と考えバサバサ切っていたのです。今なお脳性麻痺の治療の先進国でも長内転筋をまず切っています。その上で骨切り術などして満足しているかに見えます。

 先生方、よくよく長内転筋の機能を科学的に内旋か外旋か考え見られませんか。

 よく考えて長内転筋を温存した整形外科手術をマスターし、世界中の長内転筋を切る脳性麻痺の整形外科を”がらくた”として捨て去る取り組みに参加してみませんか。世界のリーダーになって脳性麻痺の運動医学・整形外科の先兵として大きく羽ばたいていられませんか。

 脳性麻痺の手術で異常な動きが治らない暗黒の時代は終わりました。脳性麻痺の整形外科治療の先兵として第一線にご活躍の先生方、充実に毎日をお過ごしの事と心強く思っています。多くの先生方のご参加によって大変充実感のある脳性麻痺の整形外科という学問を共に楽しめる事を嬉しく思います。

 ところで先生方、脳性麻痺に対する整形外科という学問、治療医術に対しどの程度の意義、価値観をお持ちでしょうか?

 その昔私が整形外科医として脳性麻痺の治療にとり組んだ頃の事ですが、「整形外科で脳性麻痺を治す事は出来ない」、「手術そのもので機能をあげる事は出来ない」といったうら寂しい考えが横行する時代でした。極端な話をすれば「リハビリを効果的にするために変形、拘縮をのぞくため」とか、「諸外国の先生などは装具をつけやすくするために整形外科手術をする」とか、「介助者が介護をしやすくするために手術する」とかといった寂しい暗たんとなる様な低い意義のために手術をすると言われていきました。

 脳性麻痺を治そうとする若い整形外科医にとって暗たんとしたつまらない環境であったような気がします。多くの整形外科医がこの仕事から去っていったようなきがします。その時代は確かに何も機能をあげる手術はなかったのです。しかたなかったのです。しかし整形外科医にとっても患者さんにとっても仕方のない絶望の時代でした。でもこれだけでは先端的医学を学んだ整形外科医が本当に満足出来るでしょうか?

 今でも似たような考えで「手術によって機能をあげるのでない」、「変形、拘縮を除いてリハビリを効果的に行えるようにするための手術」と考えていっらしゃる先生もいられるかもしれません。古い50年昔の治療の考え方を引きづっておられる方も存在しえます。

 海外に目を転じますと、50年まえと何にも変りません。アキレス腱延長+長内転筋切腱、装具といった治療が相変わらず語られています。これが最高と考えると学者がいるようです。

 しかし、現在脳性麻痺の治療に取り組まれる先生方はもっともっと患者さんの治療に責任を持って「あなたのお子さんの体は良くなるよ、機能も驚くほどよくなるよ」と語られ得る時代になっていると私はおもいます。

 私は「手術で治せる」と自信をもって、責任を持ってご本人にいえる整形外科でありたいとおもいます。もう現在の小児整形外科学の力を持ってすれば

「脱臼、変形、拘縮の矯正は完璧に正常に近く戻せます。」「硬いつっぱった筋は切り離し、やわらかい体を支える筋だけをのこします。ふっくらとしたやわらかい体、手足を生み出します。」「動きがのびのびと出来るようになります。」体を支え垂直位をしっかり保つやわらかい筋は一本切らず残します。これを抑えつけるかたい筋を切り離すので、体を支える筋は力を取り戻します。」「力を生み出すやわらかい動きを引き出す手術が整形外科で可能になりました。」このように胸を張って患者さんや患者さんのご両親に語れる整形外科を目指し、これを先生方と世界に向けて発信していきたいものです

「手術で治せない」という寒々しい話ではなく、「手術でよくなる」と自信をもって語りつつ生きていくものですね。日々研鑽を積み重ねで最新の運動医学、動きを変え得る自慢の整形外科をともに形づくって行きましょう。

 

本当に脳性麻痺は整形外科外科手術では治せない?

 気鋭の整形外科の先生方、アテトーゼ頸の整形外科的痙性コントロール手術をした例5、例6の患者さんを見ていただけますか。その昔「脳性麻痺は手術では治せない、変形、拘縮を少なくしてぜんたいの機能あげるためのリハビリをやりやすくする」といった貧しい敗北的な寂しい理念が語られ、整形外科で得るものの少なさに暗たんとした思いをした時代がありました。脳性麻痺の整形外科治療を目指す整形外科の若い医師にはあまりにもやる気を失わせる理念でした。

多くの有能な整形外科医が本当のやる気を失い脳性麻痺の治療分野から他の分野に転進していきました。寂しい貧しい学問だったような気がします。しかしながら途方に暮れる事なく、後に残された栃木療育センターの神前智一先生、石川整肢学園の飲むる忠雄先生、千葉リハビリセンターの上原朗先生達とともにはっぱをかけてくださる石川整肢学園長辻成人先生、初代南多摩整形外科病院長和田博夫先生にも支えられて、何とかこの低迷する脳性麻痺の整形外科治療を脳性麻痺の障害に苦しむ方々へ本当に医学らしく治せる医療に変えようと取り組んだ時代があったかに思います。

 その間,脳性麻痺の苦しみを本当の意味で取り除こうと考える多くの先輩方の支え、同輩達の協力、気鋭の若い先生方の熱情が一つにまじり合って、ここ50年間脳性麻痺整形外科治療に大きな大きな明るい豊かな進歩がありました。あまりにも明るい大きな第一歩なので、あらためて気鋭の先生方とその良さを再検討出来ればと思いました。

 

最新の脳性麻痺整形外科治療ではどんな事が良くなる、革命的な改善とは?

 例1から例6までの治療例を見てください。今お話を始めたクロス、内ねじれの変形肢位も夢まで見たまっすぐのふっくらとした肢位に変っています。また絶対治る事など考えられなかったねじれて横に倒れやすいアテトーゼ頚も頭が横に倒れる事なし、まっすぐ垂直位に安定位に保たれながら治ってます。それはそれは凄い整形外科の充実です。少し脳性麻痺に対する整形外科の力の凄さを語ってみます。

 現在整形外科で医学として科学として脳性麻痺が治ると言える所まできているテーマを書き上げてみます。

 

 1、変形、拘縮はやわらかい筋だけを残す事によってより正常に近く矯正される事になりました。股関節脱臼などもやわらかく美しく治っています。頚のアテトーゼ変形などもやわらかくふっくらと正常の形治せます。勿論クロス、股内ねじれといった姿勢異常も治ります。

 2、動きの異常も正常方向の動きに変える。これがすごいですね。今までの医学は動き動きの異常をまったく治せていません。

クロスの動きの異常、

内ねじれの動きの異常、

アテトーゼのねじれの動き、

アテトーゼの横、前、後に頭を倒す動き、

体を横にねじり倒す動き、

指の不随意な動き、

肩の腕を後に引くかたい動き。

これらをすべて少なくしてしまい正常に近い動きに近づけるのです。

 3、力を強める。もう一つすごいのは、悪い動きを抜き去りつつ決して力が少なくなりません、むしろちからが強くなって体をまっすぐに保って動かしたり、頭をまっすぐに立ったまま保持できるという夢みたいな事が現実のものとなっています。何よりも体を垂直に保つ力が増えて、寝たきりの人が立てるようになるということすら可能になっているのです(例6)。

 肩の手術をすると腕全体を頭の上に上げる事も出来るようになります。例3の少年は両肩の手術を、両股、両膝、両足の手術の後に組み入れました。とたんに杖なしで歩けるようになっています。

 4、息がしやすくなる。とんでもない事も出来るようになりました。胸で呼吸をする肋間筋の動きを強める事も出来るようになったのです。

 肩の手術をします。広背筋という骨盤と肩甲骨の間を走るかたい筋があります。脳性麻痺ではこれがつっぱってかたくなり肩甲骨と骨盤の間にある胸郭を締め付け肋間筋が働きにくくなっています。これを切り離しますと、外肋間筋という胸郭を広げる筋が働きやすくなるのです。すると息がしやすくなり自分の体に自信を持てるようになります。同じように胸郭を締め付ける筋はいっぱいあります。

 腰の反りを治す時、側弯症を治す時、この息を押さえつける筋を切り離しますとどの手術でも息が楽になるのですね。すごい効果です。こんなすごい効果を示す手術でもあるのです。お腹の手術、胸の手術、背中の手術でも呼吸は楽になるのです。体を外側から締め付ける筋を切ると、簡単に息がしやすくなります。

 体をまっすぐ支える筋はすべて切らずに残るので体の安定が悪くなる事はないのです。夢みたいな明るい手術です。

 5、語りが楽になる。ものを言いやすくなります。呼吸が楽になりますと言葉が出やすくなるのですね。人との会話が聞き取りやすくなりコミュニケーション能力が高まるのですね。肩、胸、腹、腰など体幹の手術はこのような楽しみがつけ加えます。

 6、かたい握りしめられた指が開き指を思うように動かせるようにもなりますよ。指が正常近く動き出します。

 7、肩、肘にやわらかさを出して自分でご飯を食べれるようになるといいですね。そのお手伝いができます。

 8、股関節の内ねじれ(内旋)歩行も意図的にまっすぐに歩けるように出来ます。これが一番難しい課題でしたが、美しく力強くまっすぐに前を向けて歩かす事が可能になったのです。

 今日は60才になる男性が左足の内ねじれを治してくれと外来を訪ねました。私どもで難解かの手術をして両ステッキをついて歩けるようになったのですが、やっぱり左足が内にねじれていて、左足を踏み出す時に内ねじれに足が出て、しっかり踏み出す事が出来なく転倒しやすいというのです。

 この元青年の内ねじれは10年程前に手術をしたのですが、うまく内旋が矯正出来ず瘢痕癒着もあり、今でも矯正の可能性がなく、やむなく何も出来ないので帰ってもらいましたが、やはり若い時にきれいに治しておきたい。その治療法の大筋は最近になって完成しています。美しくなおります(例4術前、術後)。

 9、膝のつっぱり。膝の伸びたつっぱりがありますと、やわらかいふっくらとした衝撃を吸収するような膝のやわらかい力強さがなくなります。

 この膝のかたさをとり去って、やわらかくかつ体の重さを支える膝の手術がもう一つの自慢の手術で、これでどの患者さんもやわらかい正常に近い歩きが出来るようになるのです。膝折れを起こさず弾力的な力強い膝を生み出してより正常に近い膝の動きを生み出すのです。

 脳性麻痺の方々の歩きを正常化し、この方々にやわらかい力強い歩きをプレゼント出来るという充実感のある治療になります。実際面ではどう大腿直筋とハムストリングとの間のバランスをとるかという微妙な問題がありますが、これは研修をされて把握していくテーマになります。

 10、足の安定(外反足と内反足を完璧にやわらかく治す)。「腱移行はかたい足内反、外反の動きをなくしてしまうので行いません」 正常に近い安定した歩きを得るのには外反の動きと内反の動きが一瞬のうちに変えられるやわらかい動きをする足を準備しなくてはなりません。

 やわらかいヒラメ筋、後脛骨筋、長腓骨筋、短趾屈筋、の力でしっかりと体を支える筋バランスを確立しなくては、力強い足は得られません。

 しかし選択的痙性コントロール手術をしっかりマスターし、丁寧に、ある時は何回にも分けて痙縮をとる手術をしていけば力強い歩きを生み出す足がうまれます。腱移行術を加える足では、体をしっかり足の中心に瞬時にのせて支えるという事が出来ません。精緻な手術をして、始めて神がかりの安定性が得られるのです。例3の少年の足はよりバランスのとれた足であり、これより杖なし歩行を実現させたのです。

 11、痛みをとる。脳性麻痺の方々が一生の間を生きる間必ず苦痛で苦しむのが痛みです。

 私どもの整形外科選択的痙性コントロール手術はこの死ぬほどの痛みを含め脳性麻痺の方々の痛みをすべてとり去るという理念を可能にしてくれています。限りなく脳性麻痺の方々の痛みに苦しむ状態を少なくしていきたい。よく考えるとわたしたちの選択的痙性コントロール手術と従来の骨関節対応の整形外科手術の組み合わせ手術が死ぬほどにも苦しむ痛みを和らげるのに最も有力な気がします。

 脳性麻痺の典型的な痛みを挙げてみましょう:

ⅰ、股関節脱臼の痛みの治療と予防

むごい痛みですね。体がやせ細り、脱臼の痛みから逃げるために脱臼側を上にして寝る、下になった方の体は床にずっと押さえつけられて皮膚が圧迫されて褥瘡になります。褥瘡になっても股関節脱臼の痛みから逃れるためにじっとしています。といった強烈な痛みのようですね。選択的痙性コントロール手術で完全に痛みをとりさり、更に脱臼整復術、大腿骨内反回旋骨切り術、もう抜けてしまってどうしても整復できない人には大腿骨外反骨切り術等を行って完全に痛みをとりやわらかい動きを取り戻すのです。

ⅱ、足の痛み

  脳性麻痺の内反足

  外反扁平足

  尖足

  踵足

  指の曲がり

  外反母趾

とあらゆる変形をまずは整形外科選択的痙性コントロール手術で矯正をしつつ痛みをとり去り、更に残った骨の変形を骨切り術などで矯正し痛みの原因を根治的に治せます。どんな種類の痛みでもまずは荒々しく働く痙性、過緊張を取り除き正常の足バランスと踏みつける力の強い足を生み出す事が大事、腱移行では力は一方向しか働かなくなります。推奨されない治療ですね。

 脳性麻痺の内反、外反、尖足、踵足のあらゆる変形をまず緊張した筋・腱をゆるめてから矯正するという考えを堅持しますと、あらゆる足の痛みがとれてまいります。痛みを確実にとり去る整形外科の治す医療の原点と考えられますが、いかがでしょうか?

ⅲ、脳性麻痺アテトーゼ頚椎症性神経根症の痛みとしびれをとる。頚部の神経圧迫の痛みは本当に死ぬほどの痛みですね。人類にとってそれはこわい進行性の痛みになりますが、脳性麻痺では原因となる頭と頚のねじれがとまる事がなく、本当に進行性の病気であり、決して治る事がない恐怖の痛みの病気になります。

 私もその昔、友に誘われてテニスを集中的に年をとってからやった時がありました。鳥取での学会1日目の朝、右手の小指側がざっくりとえぐれてなくなったような感覚で目が覚めました。小指側の事全体の半分の知覚がなくなっていたのです。それは痛い痛い思いででした。以来約一年間牽引療法など丁寧に整形外科医として治していき、以来20数年間再発はありませんが、その痛さは忘れる事がありません。

 でも脳性麻痺ではあの痛みが消える事はないのですね。頚が勝手に動くものですから、骨、軟骨がそのたびに神経を圧迫するのですね。絶望の中に生きなくてはならなかった。

 整形外科に行っても椎弓切除術、脊椎管拡大術といった脊髄神経の圧迫を取り除く手術をしますと、脊椎全体が前後、左右に構造が弱まりかえって不安定性が増し、脳性麻痺の場合は特にかえって悪くなるというのが現実でした。もう良くなるすべのないあわれな脳性麻痺という病気のいけにえにされていた感じでした。悲惨な病気でした。

 そして病気は徐々に徐々に進行し脊髄を圧迫するようになって、全身性の痛みしびれ、動きの麻痺となり死ぬような痛みの中でたれ流し、褥瘡を背中に作り体液をたれ流しながら絶命するという絶望の病気でもあったのです。

 脊柱管拡大術をしてもかえって脊柱んお不安定性を増し死期を早めるだけ、色々と脊柱の後から固定術をしても固定力が十分でなく、まさに死神に取りつかれたような感じの苦しみでした。

 しかし整形外科選択的痙性コントロール手術はこの頚のアテトーゼの痛みやしびれを完全にとり去り痛みの来ないもと通りの動きも残せる夢の手術になったのです。

 正しく痙性コントロール手術を頚に活用できる先生であれば全例この手術の後ぐらぐらのねじれる頚は消え去り、痛みのない快適な人生が現在のデータでも10年以上は約束出来る素晴らしい治療が約束出来る事になりました。例外なくです。

 脳性麻痺の患者さんの幸せを思う整形外科の先生方々!!!ぜひこの手術をマスターしてみられませんか。

 脊髄から来た痛みでない頚椎症性神経根性症であれば痛み、しびれは完璧にとり去れます。

ⅳ、脳性麻痺の肩と肩の脱臼の痛みを完全にとり去る

 脳性麻痺では腕を頭の方に持ち上げる力の弱い方々が多いですね。アテトーゼの方々も肩の亜脱臼の方が多く、一定の年齢に達すると痛みに苦しみます。この肩の痛みが麻痺のない人の五十肩のように痛みます。

 肩という関節はとってもデリゲートな関節でちょっと緩む亜脱臼でもすごい痛みでなかなか治療の難しい実態があります。整形外来的にはなかなか痛みをとるのは難しく肩の整形外科という専門分野がある程度です。

 ところが脳性麻痺、ジストニア、脳卒中という動きの異常の分野では、選択的痙性コントロールという特別な考え方では肩で荒々しく暴れまわる痙性・ジストニア筋を切り離し、腕を頭の方に持ち上げるやわらかい筋の働きを促進し、脱臼、亜脱臼の痛みを一気にとり去る事のきわめて簡単な整形外科手術が見つかりました。

 脳性麻痺、ジストニア、脳卒中で肩に痛みを訴える方々には整形外科だけでそれを治せる素晴らしい治療が生まれたのです。どんな肩の痛みも一気に治ってしまうすごい手術が生まれたのです。整形外科でしか絶対に除く事の出来ない肩の手術、広背筋、大円筋、小円筋を緩める事によって呼吸を増やすことの出来る夢の手術になっています。

 肩の痛みを劇的に完全に除くありがたい手術です。初期の段階では広背筋、大円筋、上腕三頭筋を緩め、肩そのものの痛みを取っておりましたが、最近では小円筋をも肩甲骨側で緩め肩甲骨の背側の痛みを取れるようになり、肩全体の痛みをすべてとり去る素晴らしい手術になっています。一緒に勉強しましょう。

ⅴ、背中、お腹の痛みを取る

 私どもの整形外科選択的痙性コントロール手術で何が出来るかという課題に対し、変形矯正、動きの正常化が可能になる話、さらに体中の痛みもとれるよと話をしてきましたが、もう一つ背中、腰の横倒れの痛み、前倒れの痛み、腰の反り、側弯症の痛み、苦しみをとる事が最近になって可能になりました。実にやり甲斐のある手術であり、是非研修をつまれ脳性麻痺のみでなく、ジストニア、パーキンソン氏病、脳卒中の皆様で痛みに苦しんでおられる方に活用されていただければとお話の中に組み入れさせていただきます。

 背中の痛みには二つの種類があるようです。一つは背中の両側を走る胸最長筋、腸肋筋の過緊張による痛みです。背中の反りをもたらす。この二つの筋を切り離すと痛みが消えます。もう一つは肩・肩甲骨の外側の筋の痛みです。肩の緊張に合併する痛みで小円筋の緊張で起こってきます。この二つの筋は体を支える力が弱いので肩甲骨起始部の腱を切ってしまって痛みを除きます。

 次は腰の反りによる痛みです。腰の胸最長筋、腸肋筋の過緊張で起こります。痛みの程度、反りの程度でこの二つの筋の切り離しの量を変えて腰痛を治します。クロスかがみ肢位にみられる腰の反りは加齢とともにこの反りの腰の痛みをもたらします。これを適確に治すという事は脳性麻痺の方々の痛みという苦痛をとり去るという点で応用価値の高い整形外科手術になります。

 横倒れによる痛みは胸最長筋、腸肋筋に合わせ外腹斜筋、腹直筋の過緊張で起こります。胸最長筋、腸肋筋に合わせ外腹斜筋、腹直筋を緩め、この苦しい痛みをとり去る事が可能です。お腹の前倒れの苦しみはパーキンソン氏病に見られます。腹直筋、外腹斜筋を切離、延長して治します。

 こうしてみてきますと体幹のいずれの部分も緊張の筋の部位を適確に把握できればすべて痛みはなくなると考えていい事になります。体幹の痛みを治す事で脳性麻痺の体の痛みはかなりの場所、部位で整形外科の手術で治す事が出来るようになりました。

 整形外科が脳性麻痺、ジストニア、脳卒中の麻痺性疾患で出来る事は格段に増えています。

ⅵ、アテトーゼのかたく曲がった指が手のひらをつき破る

 アテトーゼのねじれる指の動きもほかの分野の先生方ではどうにもならない硬い動きの異常ですね。

例7 (図1術前をご覧ください)

 硬い指のそして親指の動きで指の先が手のひらに食い込んで皮膚をつき破る傷を作るのですね。このつき破る力を少なくするために24時間、親指を始め4つの指に布性の絆創膏を巻いているという悲しい現実があるのです。このアテトーゼの少女は全身性の硬い硬い動きで立つ事も出来ない状態ですね。右の股関節は半分脱臼し今にも寝たきりになりそうです。

 まず、両股関節の選択的痙性コントロール手術をしました。姿勢がまずまず良くなっています。右股は外転を警戒し長内転筋、大腿薄筋を温存していますが、次のステップとして左尖足の矯正と左膝の受動術と合わせ、指の曲がりを第1段の手術として深指屈筋、浅指屈筋および母指の長母指屈筋を筋内腱だけ延長しています。

例7(図2術後)をご覧ください

 指に巻いていた布のテープがとれています。軽い手術なので再発してくると思われますが、手指がまだ細い段階なので十分な腱延長はせず将来に残す事にしています。また数年後にすべての腱をℤ状にスライドする手術を計画しています。アテトーゼの手に硬い握りしめも自由自在にゆるめる事が出来るのですね。

 参考までですが、親指は内転筋、短内転筋をゆるめずに残しました。手のひらに食い込んでいるようでまだテープが巻かれています。次の手術として母指内転筋、短母指屈筋の延長を予定しています。

 このあと○○さんは右股関節亜脱臼の矯正術大腿骨内反滅捻骨切り術を行い、更に美しい姿勢に変っています。ただ再び指の曲がりも強くなってきており、次のステップの指の選択的痙性コントロール手術を行って完全にやわらかく、美しく、しかも力強く使える手指を目指して治療を進める予定です。

 手指、頭、体幹を含めて体のあらゆる部位のアテトーゼ緊張はその程度に応じて段階を追いながら美しく治せる時代に入っています。このお嬢さん右股、両手指、左足の緊張をゆるめ、機能の改善をはかりながら、辛い痛みを回避させる手術をした事になります。勿論座り立ちのやわらかさも出てきています。